皆さん、こんにちは。中流投太郎だ。
先日、就職活動界隈をちょっと騒がせるニュースが飛び込んできた。ENEOSが2027年卒の事務系採用の一部見送りを発表したというニュースだ。

ネット上ではさまざまな意見が飛び交っているが、筆者はこれを見て「ついに来たな〜」と感じる。
今回は、このニュースを切り口に、今後加速する「ジョブ型雇用」の実態、大学で何を学ぶべきか、そして筆者が身を置く「調達」という職種の未来について、理系出身の現場人間としての視点で綴ってみたいと思う。
1. 「人を育てる」という贅沢な文化の終焉
これまで日本の大企業は、いわゆる「メンバーシップ型雇用」の象徴であった。まっさらな新卒を採用し、何年もかけて社内独自の文化に染め上げ、ゼネラリストとして育てる。この「人を仕事に割り当てる」スタイルが長く続いてきた。
しかし、今の潮流は完全に**「ジョブ型」**へとシフトしている。日系の巨大企業が先陣を切っている通り、「仕事(ポジション)に対して、最適なスキルを持つ人をハメ込む」という考え方だ。
こうなると、企業側にとって「ゼロから新人を手取り足取り育てるコスト」は負債に等しい。
「誰でもいいから若いうちに獲っておく」というポテンシャル採用は、今後どんどん縮小していくはずだ。その職務に直結する専門性を持っていない学生に対して、高い給料と育成コストを払う合理性が失われつつあるからだ。
2. 「大学で何を学んだか」が文字通り命取りになる
「大学は就職予備校ではない」という言葉がある。理念としては正しいが、現実は残酷だ。企業がジョブ型採用に舵を切るということは、採用の瞬間に「君は何ができるのか?」という専門性が問われることを意味する。
そうなると、大学4年間で何を学び、どんなスキルを身につけたのかという**「バックグラウンドの言語化」**が、これまで以上に死活問題になるだろう。
これまでは「文系で特に専門はないけれど、ガッツがあります」という学生でも、大手の事務系に潜り込めたかもしれない。しかし、これからは違う。「その仕事に必要な基礎体力が、学問を通じて養われているか」が厳しく見られるようになる。
3. 理系という「基礎体力」がもたらす差
筆者は理系として大学時代を過ごし、今はエンジニアリング会社の調達部門に身を置いている。だからこそ、あえて少し厳しい視点でこの状況を見つめてしまう。
理系の4年間というのは、ある種、過酷な「思考のトレーニング」の場だ。朝から晩まで研究室に籠もり、数値と格闘し、失敗しても実験を繰り返し、教授から厳しい指摘を受けながら論文を仕上げる。この過程で培われる「論理的思考」と、物事を最後までやり遂げる「完遂力」の差は、社会人になった瞬間に明確な差となって現れるのではないだろうか。
失礼を承知で言えば、文系の人間が「なんとなくそれっぽいアンケートをまとめ、それっぽい感想を書いたレポート」で単位を取っている間に、理系は「思考の筋力」を鍛え上げている。企業がどちらを欲しがるか。その答えは、今の時代の流れを見れば明白であるように思える。
4. 調達の最前線で「無双」する、技術バックグラウンド
筆者の専門領域である「調達」の話をしよう。実は、事務系採用の縮小という流れは、この調達部門においても顕著に現れている。
今、調達の現場で求められているのは、**「技術系バックグラウンドを持ち、現場経験がある人間」**だ。これまでの調達は事務作業的な側面もあったが、今は違う。
* 図面を見て、工場の加工プロセスをイメージできるか。
* 見積金額が、エンジニアリングの観点から妥当か判断できるか。
* 現場の工程を理解した上で、納期交渉ができるか。
これらの判断には、高度な技術的知見が不可欠だ。文系出身の新卒をゼロから育てるよりも、**「現場を知っているエンジニアを調達にコンバートする」**ほうが、圧倒的に即戦力として機能する。
はっきり言えば、技術系・現場経験のあるエンジニアが調達に来れば、この業界では余裕で食っていける。新卒の事務系をイチから育てる余裕が、今の企業にはなくなっているのだ。
もちろん調達の仕事はそれだけではないが、技術系バックグラウンドの人間の方が色々活躍しやすい気がする。
結びに代えて
ENEOSのニュースは、決して一企業の特殊な事例ではない。
「大企業に入れば育ててもらえる」という時代は終わったのだ。
もし私が今の時代に大学生をやり直すとしたら、間違いなく理系を選ぶだろう。そして、自分の専門性がビジネスのどの部分にヒットするのかを、死ぬ気で考えるはずだ。
今、大学で学んでいる子たちには、「自分のスキルをどう言語化し、どのジョブに当てはめるか」を徹底的に考え抜いてほしいと思う。私のように、卒業後に「もっと考えておけばよかった」と後悔する人を一人でも減らしたい。
この変化を、自分の武器を磨くチャンスと捉えられるかどうか。それがこれからの格差を生むのではないだろうか。
以上


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