皆さん、こんにちは。中流投太郎です。
前回はENEOSの事務系採用見送りのニュースを切り口に、理系的な専門性の重要性についてお話ししました。今回は、その専門性に加えて持っておくと、その後の社会人人生がだいぶ楽になる「経験」について書いてみたいと思います。
結論から言うと、「20代のうちに、一度は海外(グローバル)関連の業務を経験しておくこと」。これは、自分のキャリアの基礎を作る上で、非常に良い投資ではないかと思っています。
筆者はプラントエンジニアリング業界の調達部門で働いていますが、この業界は海外案件が非常に多いのが特徴です。筆者自身、20代の頃は英語を使って、海外のベンダーや現地法人とやり取りをする毎日を過ごしていました。
今は国内案件を担当しており、英語を使う機会は以前より減りましたが、当時培った「基礎」が今の仕事にどう活きているか、実感をベースに共有したいと思います。
1. 「グローバル業務」のリアルな中身
「グローバル」と言っても、華やかなイメージとは少し違います。
筆者の場合は、調達という職種柄、常に「交渉」と「調整」がセットでした。
具体的には、社内にいる外国ルーツの社員と英語で企画を詰めたり、海外の取引先に対して「いかに良い条件で、確実に納期通りに納品させるか」という交渉を行ったりしていました。時には、現地の工場や建設現場に直接足を運び、現物の状況を確認することもありました。
基本はオフィスワークですが、常に「自分とはバックグラウンドが全く異なる相手」を説得し、物事を前に進める必要がありました。
2. スキル以上に得られる「メンタルの基礎」
こうした業務を通じて、英語力や契約の知識が身につくのは当然ですが、それ以上に大きな収穫だったと感じるのは**「仕事に対する度胸」**です。
プラントのプロジェクトは関わる人数が非常に多く、会議一つとっても数十人が参加します。新人の頃から、その会議の進行を英語で任されるわけです。
正直に言って、これはかなりタフな経験でした。
自分の言葉が通じない、相手の言っていることが100%理解できない。そんな状況で大勢の前で話し、その場で議事録までまとめなければならない。
何度も恥をかきましたし、理解が追いつかないまま会議が終わってしまい、後で冷や汗をかくような失敗もたくさんしました。しかし、この「恥をかく経験」を20代のうちに一通り済ませておいたことが、後々の自分を助けてくれることになります。
3. 国内業務に戻って感じた「圧倒的な楽さ」
現在、筆者は国内の案件を担当していますが、海外業務を経験した後に国内の仕事をやると、精神的にかなり余裕を持って取り組めることに気づきました。
もちろん国内案件にも特有の難しさはありますが、日本語が通じ、共通の文化がある相手と仕事を進めるのは、海外案件の難易度に比べればずっとスムーズです。
一度、言葉の壁がある中で大人数をまとめ、物事を推進してきたという経験があると、国内での調整業務が「以前より楽に感じられる」ようになります。これは、自分の中に仕事の「基礎体力」のようなものが備わったからではないでしょうか。
他の人が尻込みするような場面でも、「あの時の苦労に比べれば大したことはない」と、冷静に、かつ胆力を持って対応できる。これは調達という、板挟みになりやすい職種において、非常に大きなアドバンテージになります。
4. なぜ「20代」なのか
筆者が20代のうちの経験を勧める理由は、世の中がまだ20代に対して「寛容」だからです。
30代、40代になってから初めて未経験の環境に飛び込むのは、責任も重くなり、精神的なハードルも高くなります。しかし、20代であれば失敗しても「勉強中」として見てもらえる部分が少なからずあります。
この「失敗が許される時期」に、あえて不慣れな、不快な環境(アンコンフォータブル・ゾーン)に身を置いてキャッチアップしておく。そうすることで、30代以降のキャリアの選択肢がぐっと広がります。
もし、実際にやってみて「自分には海外業務は向いていない」と分かったとしても、それはそれで大きな収穫です。自分の適性を20代で把握できれば、その後のキャリア形成の軌道修正が早くできるからです。
結びに代えて
今の時代、新卒採用の形も変わり、より個人の専門性や経験が問われるようになっています。
調達という仕事に興味がある方や、これからキャリアを積んでいく若手の方にとって、海外業務の経験は、自分の市場価値を高めるだけでなく、自分自身の「仕事の進め方の基礎」を強固にしてくれるものです。
20代のうちに、一度くらいは外の世界に飛び込んで、恥をかきながらも物事を進めてみる。
その経験は、数年後のあなたを、国内でもどこでも通用する「タフなビジネスパーソン」に変えてくれるはずです。
今の自分に何ができるか、どんな経験を積むべきか。
この記事が、皆さんのキャリアを考える上での一つの参考になれば幸いです。
以上

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