「調達部はクソ」と言われる理由とは?現役調達マンがぶっちゃける実態と未来

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みなさん、こんにちは

中流投太郎です。

今日はSNSや職場で時折話題になる「調達部は人間的にクソ」といった辛辣な意見について取り上げてみたいと思う。

このようなネガティブな評価を耳にすると、筆者自身も「わからなくはないな」と思うことが正直ある。現役の日系企業勤務で調達業務を行っている筆者だからこそ、調達部が抱える課題や改善の必要性についてリアルな視点からこの記事を書いてみた次第だ。

この記事では、まず調達部の役割を簡単に説明した上で、なぜ調達部が嫌われがちなのか、その原因を掘り下げていこうと思う。

そして、調達業務における変化と未来について私見を述べることで、「調達部=嫌われ者」というイメージを少しでも払拭できればと思っています。

1. そもそも調達部とは?

調達部とは、簡単に言えば「物を買う部門」だ。企業活動において必要な資材やサービスを選定・購入し、コストを管理することが主な役割だ。例えば、製造業であれば部品や原材料の購入、IT企業であればソフトウェアやハードウェアの調達など、業界によって調達するものは多岐にわたる。

以前調達部について簡単に書いた記事もあるので是非こちらもご覧あれ

しかし近年では、調達部門には単なる「物買い」以上の役割が求められるようになっている。単に価格を下げるだけではなく、サプライヤーと信頼関係を築きながら、品質や納期、さらには環境への配慮や持続可能性など、企業全体の価値を高める活動が求められている。

このように進化する調達業務において、依然として「強引な値引き交渉」を中心に行い原価低減を徹底的に追いかける姿勢は時代遅れになりつつある感じる。

2. なぜ調達部は嫌われがちなのか?

それでは、なぜ調達部の人間が「嫌われ者」として見られるのでしょうか?筆者の経験を踏まえて、主に以下の3つ要因があるかなと。

常にコストダウンを意識される

調達部門の最大の使命のひとつは、コスト削減だ。企業としては利益を上げるために、少しでも安い価格で良い商品やサービスを手に入れることが求められる。

しかし、この「コストダウン」のプレッシャーが強すぎるあまり、サプライヤーや関係部署に負担をかける場面も少なくない。

特にサプライヤー側からすると、値下げ交渉を強引に押し通されることで利益が圧迫されるだけでなく、「こちらの努力や事情を全く理解していない」という不満がたまることもある。これが調達部門に対する「冷たい視線」や「嫌悪感」を生み出しているのだ。

また、大体調達部のある会社は大企業なので立場を利用した交渉をして結果取引先が苦汁を舐める結果もあっただろう。

急に値引き交渉を持ちかける

よく聞かれる不満のひとつが、「調達部は急に無茶な要求をしてくる」というものだ。例えば、サプライヤーに対して納期ギリギリでの大幅な値引き交渉や、短期間でのコスト改善提案を求めるなど、相手にとって負担が大きい要求を突きつけるケースがある。

こうした急な交渉の背景には、調達部内のスケジュール管理の甘さや、経営陣からのプレッシャーがある場合も少なくない。また調達の担当一人一人に予算が設定されそれが厳しい現実もある。

しかし、サプライヤーからすると「こちらにしわ寄せが来ている」という感覚になるため、不満がたまりやすくなるだろう。

態度が横暴な人がいる

残念ながら、一部の調達担当者には「取引先を自分より下に見る」という態度をとる人も存在する。「買ってあげている」「選んでやっている」といった上から目線の対応や、無理難題を押し付けるような言動は、当然ながら相手に不快感を与える。

もちろん、全ての調達担当者がこのような態度を取るわけではない。しかし、一部の横暴な人間の存在が、調達部全体のイメージを悪化させていることは否めない。

3. 「被害者」が多いから生まれる悪評

以上のような理由から、調達部門に対するネガティブな意見が目立つのは事実だ。とにかく被害者が多い。

そして、調達部の「被害者」とされる人々はサプライヤーだけではない。同じ社内の他部署からも「コスト削減ばかり求めて、現場の負担を増やしている」といった不満が上がることもある。

特に現場の製造部門や営業部門からすると、調達部の「無理な交渉」や「過度なコスト削減要求」が、結果的に自分たちの仕事を圧迫しているように感じられることもあるだろう。このように、調達部は外部と内部の両方から批判されやすい立場にあるのだ。

4. 変化する調達業務:淘汰の時代が始まっている

しかし、筆者はこうした状況がこのまま続くとは考えていない。むしろ、調達業務における変革と淘汰の時代が始まっていると感じている。

現代のビジネス環境では、単なるコスト削減だけではなく、サステナビリティや企業価値向上が重要なテーマとなっている。調達部にも、これらを実現するための戦略的な役割が求められており、従来の「強引な値引き交渉」を繰り返すだけのやり方では生き残れなくなってきている。

例えば、以下のような新しい動きが界隈ではで始めている

• サプライヤーとのパートナーシップ強化
一方的な値引き要求ではなく、サプライヤーと協力しながらコスト構造を改善し、双方に利益をもたらす取り組みが求められる

• デジタル化の活用
調達プロセスのデジタル化により、効率的な業務運営や正確なデータ分析が可能になり、無駄な交渉やトラブルを減らすことが期待されている

• 持続可能な調達
環境負荷を減らし、倫理的なサプライチェーンを構築する取り組みが、企業全体のブランド価値を高める手段として注目されている

このように、今後の高度次第では調達部は「嫌われ者」から「信頼されるパートナー」へと変わるチャンスを迎えているのだ。

5. 最後に

調達部が嫌われる理由は、これまでの慣習や一部の担当者の行動に起因する部分が大きいと言える。しかし、それを理由に「調達部全体が悪い」というレッテルを貼るのは適切ではない。

これからの調達業務は、単なるコスト削減ではなく、企業価値を高めるための重要な戦略部門として進化していく必要がある。そうした進化を遂げられない企業や担当者は淘汰されていくだろう。

現役調達マンとして筆者は、この変化を前向きに捉えつつ、自分自身も「嫌われ者」ではなく「信頼される調達担当者」として成長していきたいと改めて感じる今日この頃。

以上

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